OAuth 2.0 vs OpenID Connect:使い分けガイド
OAuth 2.0 と OpenID Connect の違いと使い分け
Web アプリケーションにおける認証は、ユーザーの身元を証明し、そのユーザーがアクセスできるリソースを制御するための重要なプロセスです。その中でも、OAuth 2.0 と OpenID Connect (OIDC) は、ウェブセキュリティとユーザーエクスペリエンスを向上させるために広く利用されている認証プロトコルです。しかし、両者は似たような名前を持つため、しばしば混同されます。この記事では、これらのプロトコルの違いを明確にし、それぞれの利用場面における使い分け方を解説します。
OAuth 2.0 の概要
OAuth 2.0 は、ユーザーの認証に焦点を当てた認証フローを提供する規格です。ユーザーのパスワードを直接サーバーに送信することなく、第三者(通常はソーシャルプロバイダー)を通じて、ユーザーが自分のリソース(例えば、Google カレンダーや Twitter のアカウント)へのアクセス許可をアプリケーションに付与できるようにします。この仕組みにより、ユーザーはパスワードを安全に管理でき、アプリケーションはユーザーの許可を得てリソースにアクセスできます。
OAuth 2.0 の主な役割は、アクセストークンを生成し、それを使ってリソースプロバイダ (例: Google, Facebook) からリソースへのアクセスを許可することです。アクセストークンは、一定期間有効であり、その間、アプリケーションはリソースにアクセスできます。また、OAuth 2.0 では、認証後、権限スコープを定義することで、アプリケーションがアクセスできるリソースの種類を細かく制御できます。
OpenID Connect の概要
OpenID Connect (OIDC) は、OAuth 2.0 を拡張したプロトコルです。OAuth 2.0 の認証機能に、ユーザーの身元を検証し、ユーザー情報を取得するための機能を加えています。OIDC では、認証されたユーザーのIDトークンという、ユーザーの身元を証明する情報が含まれています。このIDトークンを使って、アプリケーションはユーザーの身元を検証し、ユーザー情報を取得できます。
OIDC では、従来の OAuth 2.0 のアクセストークンと、OIDC の ID トークンを組み合わせて使用します。ID トークンは、ユーザーのプロフィール情報(名前、メールアドレスなど)を包含しており、アプリケーションはこれを使ってユーザーの情報を取得できます。
OAuth 2.0 と OpenID Connect の違い
特徴 | OAuth 2.0 | OpenID Connect | |
---|---|---|---|
目的 | リソースへのアクセス許可 | ユーザーの身元検証とユーザー情報の取得 | |
目的 | リソースプロバイダとアプリケーション間の連携 | ユーザーとアプリケーション間の連携 | |
トークン | アクセストークン | アクセストークン、ID トークン | |
認証の焦点 | リソースへのアクセス許可の付与 | ユーザーの身元検証 | |
使い分け
一般的に、以下の使い分けが推奨されます。
- アクセス許可が必要な場合: OAuth 2.0 を使用します。例えば、ユーザーが自分の Google カレンダーへのアクセスをアプリケーションに許可する場合などです。
- ユーザーの身元を検証する必要がある場合: OpenID Connect を使用します。例えば、ユーザーがログインした状態で、そのユーザーのメールアドレスをアプリケーションで取得する場合などです。
多くの Web アプリケーションでは、両方の要素を組み合わせて使用することで、より安全で柔軟な認証システムを構築しています。
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