パスワードハッシュ:bcrypt, scrypt, Argon2 徹底解説
パスワードハッシュの基礎:bcrypt, scrypt, Argon2 を理解する
ウェブサイトやアプリケーションでユーザー名とパスワードを扱う際、パスワードを平文で保存することは絶対に避けるべきです。なぜなら、ハッキングによってパスワードが漏洩すれば、全てのユーザーアカウントが危険にさらされるからです。そこで用いられるのが、パスワードハッシュと呼ばれる技術です。本記事では、代表的なパスワードハッシュアルゴリズムである bcrypt
, scrypt
, Argon2
について解説します。
パスワードハッシュとは?
パスワードハッシュとは、ユーザーが入力したパスワードを、一方向関数と呼ばれる関数に通して生成されたハッシュ値(文字列)のことです。このハッシュ値は、元のパスワードとは決して逆方向に復元できないため、ハッキングによるパスワードの漏洩を防ぐ効果があります。データベースに保存するのは、ハッシュ値のみです。
bcrypt (Block Cipher Algorithm for Password-based Cryptography)
bcrypt
は、2005年にデイビッド・ボウマンによって開発された、非常に実績のあるパスワードハッシュアルゴリズムです。計算コストが高く、攻撃に対する耐性があるため、多くのウェブアプリケーションで利用されています。 bcrypt
は、キーとソルト(ランダムな文字列)を組み合わせてハッシュ値を生成します。ソルトを使用することで、同じパスワードでも異なるハッシュ値が生成され、レインボーテーブル攻撃(ハッシュ値を大量に保存したリストを攻撃する手法)を効果的に防ぐことができます。
scrypt (Single External Memory Programming Language Cryptographic Algorithm)
scrypt
は、2002年にエヴァン・リードによって開発されたパスワードハッシュアルゴリズムです。 bcrypt
と同様に、キーとソルトを使用しますが、メモリ量をパラメータとして指定できる点が特徴です。このパラメータによって、より多くのメモリを消費するため、CPUパワーの低い環境でも比較的安全なハッシュ値を生成できます。 scrypt
は、特にメモリリソースが限られた環境で安全性を確保したい場合に適しています。
Argon2
Argon2
は、2017年に開発された比較的新しいパスワードハッシュアルゴリズムです。 bcrypt
や scrypt
と比較して、より現代的な設計思想に基づいており、特にセキュリティ面で優れています。 Argon2
は、データの暗号化だけでなく、ソルトの抽出(ソルトの復元を試みる攻撃を防ぐ)も可能です。 複数のバリアントがあり、CPU、GPU、メモリを効果的に利用することで、高度なセキュリティを実現します。 現代のウェブアプリケーションで、最も推奨されるパスワードハッシュアルゴリズムと言えるでしょう。
まとめ
パスワードハッシュは、ユーザーのパスワードを安全に保存するための重要な技術です。 bcrypt
, scrypt
, Argon2
などのアルゴリズムを適切に選択し、安全な実装を行うことで、ウェブサイトやアプリケーションを危険から守ることができます。 特に、新しいプロジェクトでは Argon2
の利用を検討することをお勧めします。
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